さすらいの太陽



1971年。原作・藤川桂介氏(宇宙戦艦ヤマト)、少女コミックでマンガ版(すずき真弓氏)も連載。

昭和28年8月2日。同じ病院で生まれた2人の女の子。1人は財閥の娘、1人は屋台のおでん屋の娘。看護婦の野原道子は恋人が出世のために金持ちの娘と結婚したため、財閥の娘を恨み、2人の赤ちゃんをすりかえる。

香田財閥の令嬢として育った「香田美紀」、貧しい家の娘「峰のぞみ」。本当は逆。

同じ学校にすすむと、美紀は貧しいのぞみをいじめの対象にする。のぞみは歌手になりたい夢を持っていた。美紀はそんなのぞみを見下したい思いから、自分も歌手への道を進む。

美紀は親の財力を背景に芸能界にデビュー。のぞみは酒場で「流し」をやりながら、歌手を目指し下積みを続ける。

看護婦・道子の弟、作詞家となっていた純の紹介でのぞみは芸能プロダクションに入るがドサ回りの毎日。その行き着いた先は美紀の付き人だった。

過激なスケジュールをこなしながら、仕事を続ける美紀。その姿をみていたのぞみは、「これでは本当の歌は歌えないのではないか」と芸能界に疑問を感じ、放浪の旅に出る。

旅先で出会った人との交流を続けるのぞみ。幻のジャズピアニストを歌声で舞台に復帰させるなど、彼女の歌は人々の心に響いていく。

かつて、のぞみが思いを寄せていたファニー。彼は米国に旅立ったが、日本に帰ってきていた。ファニーは「峰のぞみ」の実の兄であった。のぞみは「実の兄」と思い、衝撃を受ける。

のぞみは音楽祭に参加するというバンド、ゲリラーズと知り合う。このバンドと一緒に参加した音楽祭で、のぞみは自身が長年あたためていた歌、「心のうた」熱唱する。それが芸能界デビューのきっかけとなる。

財閥令嬢の不幸を願った道子はそのことを知り、弟の名前を使って記者会見を開く。「香田美紀」と「峰のぞみ」の出生の秘密を明らかにしたのだ。

病気を患っていた「峰のぞみ」の父、慎介。道子の記者会見後、危篤に陥る。

のぞみが駆けつけた時はすでに遅く、慎介は亡くなっていた。のぞみは看護婦達に「芸能人は親不孝」を非難を受ける。のぞみは芸能界を辞める決心をする。

美紀は自身の出生の秘密を知り、うちひしがれ、自殺をしようと、嵐の海に入っていく。

周囲の説得で歌手を続ける決心をするのぞみ。ファニーと兄妹ではないことが分かり、お互いの気持ちを確かめる。

美紀が発見され、病院に搬送される。美紀が目覚めた時、のぞみがいた。

貧困な峰家をさげすんでいた美紀は自分が香田家に捨てられると思っていた。しかし、香田大二郎は美紀をこれまで通り自分の娘として見守る決意をしていた。

美紀をみつめるのぞみ。のぞみは病院に駆けつける前、香田家の母、澄代に「私と美紀は姉妹だ」と話していた。

泣きながら手を取り合うのぞみと美紀。


香田家と美紀はこれまでの非礼を峰家とのぞみにわびた。

不幸な生い立ちだった道子。貧困家庭に落としたはずののぞみが素直に育った事実をみて、自分との違いを認める。

のぞみはデビュー間もないにもかかわらず、ワンマンショーが企画された。彼女は超満員のステージに立っていた。



峰のぞみの声優、藤山ジュンコは、このシリーズの音楽担当、いずみたく氏の弟子で、将来を有望視されていた。さらに、この挿入歌・エンディング曲の「心のうた」でメジャーデビューする予定だった。しかし、番組は低視聴率のため、売出し中の少女歌手・堀江美都子が「心のうた」をレコーディングして発売した。藤山ジュンコは「心のうた」でデビューできなかった。

もし、視聴率に恵まれていたら、藤山ジュンコはテレビまんがから抜け出てきた歌手として注目されただろう。「さすらいの太陽」の裏番組はクイズ・タイムショックタイガーマスク。強力だった。

藤山ジュンコは師匠のいずみたく氏の説得にもかかわらず、芸能界に疑問を感じ歌手をやめてしまう。発売したのは「心のうた」の藤山ジュンコ版と、挿入歌にもなった「鎖」の2曲だけ。

峰のぞみが「幻の歌手」から、メジャーデビューするストーリーだったのに、逆に、藤山ジュンコは「幻の歌手」になってしまう皮肉であった。

帰ってきたウルトラマン 33話 怪獣使いと少年

すでに多くの人がブログに書いていますが、やはり、日本の怪獣特撮ドラマを語る者は避けてはいけない話でしょう。

1972年に放送された「帰ってきたウルトラマン 33話 怪獣使いと少年」です。

河原に住む中学生の佐久間良。
毎日、地面に穴を掘っています。

彼はいじめの対象でした。

彼は超能力が使えました。それを気味悪がる級友や町の住民に「宇宙人」と言われ、仲間はずれにされます。
それはやがて、「世の中のありとあらゆる災害の原因はこいつではないか?」という発想につながり、町の人から食べ物すら売ってもらえないようになります。
良はいじめに来る者たちを超能力で追い返しますが、更にそれが苛めや虐待の理由となっていきます。
犬をけしかけられますが、犬は爆発。これが、苛める者たちの怒りを加速させます。

公害を垂れ流す工場によって、魚が奇形。それは怪獣へと成長しました。魚怪獣ムルチ。ある日、良はムルチに襲われます。

それを助けたのは老人、金山。実は金山老人は宇宙人、メイツ星人でした。故郷である星が滅びたため、宇宙船で脱出。逃げついた先がこの地球だったのです。
金山老人は超能力でムルチを地下に封印しました。

良はある日から、河原で穴を掘り始めます。実は、金山老人は自分が乗ってきた宇宙船を地下に埋めて隠したのですが、健康を害し、宇宙船を呼び出す力がなくなっていたのです。
健康被害は公害によるものでした。もう、命の残りは少ない。
工場は毒の煙を出し続けます。

良は北海道出身。父は東京に出稼ぎに行ったきり行方不明、母はすでに死亡。父を探しに東京に出てきたが、身寄りのない良少年は、金山老人と河原の小屋で共同生活を始めました。
良は毎日、地面を掘り続けています。

良は中学生たちの虐待にあいました。
わずかな食糧の粥を地面にぶちまけられ、その上、良が自分で掘った穴に埋められます。
穴から首だけ出した状態。地面から出た頭。これを中学生は自転車で轢こうとしていました。

そこへ、怪獣攻撃隊MATの隊員であり、ウルトラマンである郷が止めに入ります。町で宇宙人の噂、それは超能力が使える良のことですが、を聞きつけ河原にやってきたのです。
頭を轢かれたら、死ぬかもしれない。その危機を良は救われました。

良は町にパンを買いに行きますが、店の女主人は売ってくれません。それを見ていた店の娘が良を追いかけます。
「うちはパン屋よ。パンを売るのが仕事だから」と良にパンを売ってくれました。
この話の中で唯一、ほっとするシーンでした。

金山老人の小屋で郷隊員は、いきさつを聞きます。故郷の星が滅び、1年前に地球に着いたが大気汚染に身体を蝕まれ、もう命はわずかしかない…と。宇宙船は地下に隠しましたが、呼び出す力は老人には残っていません。

だから、良は「時間がないんだ」と地面を掘るのです。

そこへ町の人が大挙、押し寄せてきました。今日こそは宇宙人を退治するのだと。MATが退治しないから、自分たちで退治するのだ。

竹やりを手に手にもつ群集。警官も一緒でした。

良を捕まえる群衆。割ってはいる郷隊員。良をどこかへ連れて行こうとする群衆。このままでは確実に良は殺される。

小屋の中で身を潜めていた、金山老人が現れます。「宇宙人は私だ。その子は私を守ってくれていたのだ」と。

群集の1人が叫びます「こいつを生かしておくとどうなるか分からんぞ」

群集が老人の襲いかかり、警官はついに発砲。金山老人は倒れ、身体からは血が流れ出す。

金山老人が死に、封印されていた怪獣、ムルチが地を割って現れます。

逃げ惑う群集。郷隊員に「早く怪獣を退治してくれ」と叫びます。

しかし、郷隊員はうずくまったまま、心の中で叫びます。「勝手なことを言うな。怪獣をおびき出したのはあんたたちだ」

そこに、虚無僧姿のMAT伊吹隊長が現れ、「町がどうなっていると思うのだ」と一喝します。

ウルトラマンに変身し、怪獣ムルチを倒します。

1人残された良。
彼は、まだ、穴を掘り続けていました。「おじさんはメイツ星に帰ったんだ。俺がついたら迎えてくれる」。だから、宇宙船を掘り出すのだ。
宇宙船をみつけるまで彼は掘り続けるだろう。地球から去るために。


差別を描いた作品です。
全編、暗いトーンで語られていきます。パン屋の娘と伊吹隊長と郷。これ以外は救いようが無い話です。

物語の中盤で伊吹隊長は、経過報告をする郷隊員に言います。
「日本人はその手に花を持てば美しく飾るのに、刃を持つとどんな残忍きわまりない行為をすることか」

河原が舞台なのは、「河原者」。部落出身者。
老人は身体を壊しています。身障者。
老人は仮の名として「金山」を名乗っています。在日朝鮮・韓国人に多い「通り名」。
少年の出身は北海道。アイヌ
そして、この作品の脚本を書いた上原正三氏は沖縄の出身。1972年はまだ、沖縄は返還前でした。

上原氏は後に、「この作品を作ったことを後悔している」と話していたそうです。
あまりにも差別を直截的に取り上げたからでしょうか。

「もう、この話は書けないだろう」とも。

日本に差別が昔よりも少なくなったから?

それとも、もう言ってもしかたがないから。良少年のように、日本を見捨てたのか?

キャンディキャンディ 裁判の顛末


レビューというより、著作権裁判の顛末です。

1997年、原作者の水木杏子名木田恵子)氏と漫画化したいがらしゆみこ氏の間で著作権の所在が、裁判で争われました。

1995年、いがらし氏と日本アニメーションがキャンディキャンディのリメイクを企画。そのため、講談社東映アニメーションとの契約を解除しました。しかし、原作者の水木氏がキャンディキャンディはすでに終わった作品として、リメイクを断りました。同年、水木氏といがらし氏は著作権にかんする契約を結び、二次利用や商品化は双方の同意が必要としています。
97年にいがらし氏が倉敷市の「いがらしゆみこ美術館」で多数のキャラクター商品を発売、通販でも版画を発売。更に、いがらしゆみこのみの著作権表示をした菓子を発売しました。すべて、水木氏の了解を取りませんでした。

水木氏はいがらし氏が契約違反によるキャラクター無断使用を訴えましたが、いがらし氏は水木氏に著作権がないと主張しました。

2001年、最高裁で出た結論は水木氏の原作が一次著作物であり、いがらし氏のマンガなどは二次的著作物という位置付けと結論されました。

それにより、いがらし氏が作画したマンガを二次利用したアニメや映画の放映、キャラクターグッズの販売は水木氏、いがらし氏の両方の許諾が必要であり、水木氏の原作のみをもとにした新作や再マンガ化は水木氏の許諾のみで可能となりました。

実際、マンガの連載、アニメ化にあたって、出版社の講談社はその通りの処理をしていました。


講談社の単行本は最高裁判決後、水木氏と講談社との話し合いにより契約解除・絶版となりました。中央公論社の出していた文庫本も99年に絶版になっています。

東映アニメーション講談社から許諾されていた著作権の二次使用権も失効となり、アニメの再放送、ビデオ・DVD化も不可能となっています。

東映アニメーションから要請があれば、水木氏、いがらし氏ともに許諾すると言っています。しかし、いがらし氏は今も水木氏の著作権を否定しています。更に、過去に東映アニメーションの商標権を侵害してキャラクター商品を多数販売しており、その謝罪のないうちは東映アニメーションとの関係正常化も不可能でしょう。

以前は東映との関係が深いメーカーからキャンディキャンディのランチボックスが発売されていましたが、ある時、キャラクター商品に強いメーカーに変更されました。その頃、聞いた話です。

結局、一番迷惑しているのは、キャンディキャンディのファンですよね。
再放送も見れないし、DVDもマンガも買えない。

著作権は重要ですが、もっとファンのことを考えてほしいです。

アニメ・特撮 ⑤ 【鳥人戦隊ジェットマン】




鳥人戦隊ジェットマンです。1991年〜92年の放映だったので16年前(2007年現在)の作品ですね。
ゴレンジャーから数えて15作目(今のゲキレンジャーは31作目)だそうです。
実は、戦隊ものの最高傑作と言われています。

ジェットマンの前の作品、地球戦隊ファイブマンが前半の低視聴率で一時は戦隊シリーズ打ち切りも検討されたようです。
それで、「もしかしたら最後の戦隊もの」として制作されたようで、かなり、ブチギレた作品になってます。
「視聴年齢を大人にまで広げた(?)ので、成功した」と言われています。

シナリオライター井上敏樹。彼は人物の内面や、登場人物の利害関係の描写に長けた作家です。特に、主人公や主要人物がトラウマを抱えているという設定をよく使います。
うる星やつらラムザフォーエバー」や、最近は「仮面ライダーアギト」「同555」のメーンライターとしても有名なようです。

このジェットマンは5人のチームで、男性3人、女性2人。チーム内と敵キャラとの恋愛関係を描いた物語で、男女の三角関係がドラマの中心になっています。
それゆえに、「子供向けのドラマではない」という抗議や批判が多かったそうです。
確かに、子供がみて分かる話じゃないよな…

レッドホーク(天堂竜)、コンドルブラック(結城凱)、イエローオウル(大石雷太)、ホワイトスワロー(鹿鳴館香)、ブルースワロー(早坂アコ)、隊長は女性で小田切綾。
科学忍者隊ガッチャマン」を模しています。甚平役が女子高生になってますが、甚平と同じくツバメです。大鷲のケンがレッドホーク(鷹)に変更されてますが。
中身はほとんどガッチャマンとは関係ないのですが。あとで述べる最終回の衝撃ラストを除いて。。

設定は、さまざまな異次元を制圧してきたバイラムと戦う、戦隊の物語です。
地球防衛軍が開発した「バードニックウェーブ」をあびると身体能力を強化した超人戦士になります。ところが、バイラムの襲撃でこの基地が破壊されます。
正規の隊員の竜だけが残り、彼の恋人・あおいリエは次元断層にはまり行方不明、死亡したものと思われています。
バイラムの攻撃の際にバードニックウェーブの漏えい事故が起こり、このバードニックウェーブを浴びた民間人が4人いました。それが残りの4戦士です。ストーリーの初めはメンバー探しとなってます。

バイラム側のキャラクターは女帝ジューザ、裏次元伯爵ラディゲ、マリア、グレイ、トラン、帝王トランザ
女帝ジューザは2回しか出てきません。権力争いでラディゲとジェットマンの連合チームに倒されます。
グレイは戦うだけが目的のロボットです。凱と何度も死闘を繰り返します。ロボットですがマリアに恋心を抱いており、マリアが死亡した時、そのなきがらを受け止めています。
トランはトランザの子供の時の姿。トランザは尊大で歪んだ性格です。トランの時に敵味方に子供扱いされたのがトラウマとなっています。超能力で一度はラディゲを服従させますが、ラディゲはレッドホークを利用してまで逆襲。最後は精神崩壊し、身元不明の患者として精神病院に入れられます。

ラディゲは実質的な大ボスです。目的のためには手段を選ばず、尊大で野心家です。しかし、自分を嫌うマリアに倒錯した愛情を持っており、メーンライターの井上敏樹氏による小説版ではマリアを愛人にしています。

マリアは竜の行方不明になった恋人、あおいリエが正体ですが、記憶を失い、バイラムに洗脳され幹部となっています。好戦的で残忍な性格に変貌していますが、ピアノの演奏だけはリエそのものです。その演奏がグレイの機械の心を引きつけました。
物語のクライマックスで記憶を取り戻しますが、人類を攻撃し殺戮した記憶との間で葛藤します。けじめをつけるためにラディゲの背中に深手を負わせますが、「レッドホークには渡さない」と逆上したラディゲに斬られ、竜の名前を呼びながらグレイの腕の中で死亡。溶解作用のあるグレイの涙が彼女の遺体を消し去ります。

もともと、竜だけが防衛軍でほかの4人は民間人だったので、当初、チームの仲は最悪でした。そのうち、竜と凱は超親友になります。

竜は主人公タイプですが、恋人を失ったトラウマがあります。
凱は子供向け番組なのにたばこを吸います。二日酔いです。香に気があります。何度も口説いてます。強引にチューしようとするほどです。
竜太は素朴なキャラですが、香に気があります。最終的には諦めて幼馴染と結婚します。

香は当初、竜にモーションかけまくりでしたが、竜の心からリエが消えないので、凱に乗り換えます。訓練をサボってデートするほどラブラブになります。
しかし、凱は財閥のお嬢様の香に「マナーが悪い」とか指摘され、それを煩く感じ始めます。
鹿鳴館財閥を率いる香の両親は、マンガに出てくるダメ金持ちの典型です。

結局、うまく行かず悩んでいる時にマリアがリエと分かり、そのリエが死亡します。香は竜の心の隙間に入り込んで、今度は見事に落とします。

リエの死に落ち込み、単身ラディゲとの決着に赴く竜。傷ついた竜にリエが最後に言った「私の記憶を消して」という言葉を「思い出して」と、香は竜に迫ります。
リエの言葉を話す香の中にリエの姿を見た竜が香を抱きしめます。このシーンだけみたら「戦隊もの」だと誰も思わないです。





し・か・し…香って。。。。

第一候補(竜)と第二候補(凱)を巧みに乗り換え、第一候補の恋人が死亡した精神的ショックにつけこみ、まんまと第一候補を落とすなんて…こえーーーw(゜o゜)w
両親が大金持ちってことだけど、こういうことが出来ないと大金持ちにはなれない?!



アコはドロドロ恋愛ドラマの蚊帳の外です。

怪人、怪獣? の類は30体ほどしか出ていないようです。恋愛ドラマを中心にしたせいでしょう。

紆余曲折の戦いを通じ、戦隊とバイラムの最終決戦が行われます。

最終回前に敵方のロボットのグレイと凱の対決があります。
グレイと凱は戦いの中で友情に近いものが芽生えていますが、敵味方ですから、戦わなくてはなりません。
一進一退の戦いでグレイが優勢となりますが、最後、凱が逆転勝利します。
グレイは「戦士が死ぬところが見られたくない」と話し、凱を遠ざけます。凱はたばこに火をつけ、グレイに与えその場を去ります。
仰向けに横たわるグレイがたばこを吸いますが、やがて力が失われていくのが分かります。マリアの弾くピアノの映像と音がバックに流れ、彼がマリアのもとに旅立とうとしているのが分かります。

最終回は前半で敵との戦いが終焉します。
ラディゲとジェットマンの最終決戦。ラディゲが有利でしたが、リエがラディゲに斬りつけた背中の傷が弱点になりました。そこを狙われ敗れ去ります。

その後半は戦いが終わった3年後。

竜と香の結婚式が始まります。そこに凱以外のメンバーが勢ぞろいしています。
凱はその頃、花屋で竜・香に渡す花を買っていました。その目の前でチンピラが通行人のかばんを引ったくり、逃亡しようとします。
チンピラを追いかける凱。追いつき、かばんを取り戻し、チンピラに背を向けて歩き出します。倒れたチンピラは懐からナイフを取り出し凱に突進。振り向いた凱は腹を刺されます。

結婚式が終わり、協会の外で竜や香を囲む出席者たち。竜が気が付くと、近くのベンチに凱が座っていました。
「来てくれたのか」と竜は話しかけながら凱の隣に座ります。花束を渡し、祝福する凱。「顔色が悪いぞ」の竜の言葉に「いつも通り二日酔いだ」凱は応えます。

全員で記念撮影をしますが、凱はベンチから立ち上がりません。竜は一同に「疲れているんだ。そっとしておこう」と言います。
竜は木陰にリエの姿を見つけます。リエは頷き、微笑むと姿が消えていきます。

画面の効果をたくみに使いながら楽しくはしゃぐ一同のシーン。凱がまぶたを閉じ、力なく腕が落ちます。

この場面で物語は終了。エンディングテーマが流れていきます。

特撮・アニメを含めたヒーローものの中でかなり異色な作品でした。
モデルにした「科学忍者隊ガッチャマン」もコンドルのジョーが死んでいます(続編で復活)から、凱が最後に死ぬのは必然だったのかもしれません。

私はなぜか、「太陽にほえろ」のマカロニ刑事が死んだシーンを思い出しましたが。

やはり、この最終回後半だけ見た人は誰も「戦隊もの」とは思わないでしょう。。









でも、戦闘機が墜落しても死なない、剣で斬りつけられても死なない、爆発に巻き込まれても死なない…それをナイフ1本で殺したチンピラって凄い。








チンピラ役はブラックコンドルスーツアクターが演じていたそうです。変身後に変身前が襲われたのなら確かに死ぬかもww

最近の戦隊ものではアバレンジャーマジレンジャーが秀逸だったと思います。

【時代劇 ①】 神州天馬侠など

1971年の仮面ライダー以後は、等身大ヒーローものが子供番組のメーンとなる。それ以前にも、66年の「ウルトラマン」、67年の「ウルトラセブン」「ジャイアントロボ」などSFテーストの作品もあったし、さらにさかのぼれば「海底人8823」「少年ジェット」「月光仮面」「怪人二十面相」など怪奇物も人気だった。
しかし、60年代〜70年代はまだまだ、チャンバラものが人気だった。

家族で楽しめる「素浪人・月影兵庫」(65年)、「花山大吉」(69年)は毎週見ていた。こんなおもしろい時代劇はそれ以後、まだ、ないと思う。僕は近衛十四郎松方弘樹目黒祐樹の父)のファンでした。77年に63歳で亡くなった時は少なからずショックでした。

月影兵庫は7月から松方弘樹でリメークするらしい。焼津の半次は誰が演じるんだろう?

あと、68年の「旅がらすくれないお仙」。これも毎週見てました。松山容子さん主演。三味線の弦を1本ずつ切りながらセリフを言って、3本とも切って柄をつかむと刀が出てくる。仕込み三味線ですね。因みに座頭市は仕込み杖です。
琴姫七変化はリアルで見ていないから、やっぱりくれないお仙ですわ〜。
ボンカレーのパッケージ、松山容子さんのままにしておいて欲しかったです。


子供が見るのも時代劇が多く、少年時代劇って分野がありました。「新諸国物語 笛吹き童子」に「紅孔雀」。これらは再放送などでしか知りません。後に笛吹き童子はリメークされています。
赤胴鈴之助は72年のアニメ版を見てました。アニメでは64年「少年忍者・風のフジ丸」、68年「サスケ」、69年に「忍風カムイ外伝」が放映されています。
実写映画では「大忍術映画 ワタリ」が66年に公開されていますし、同年には、あの名作「大魔神」がありました。

仮面ライダー以後はわずかに72年、「変身忍者 嵐」「怪傑ライオン丸」、73年「風雲ライオン丸」があったけど、その後は「五条戦記」のようなSF的なものや伝奇物となり、純粋なチャンバラ物の時代劇はなくなっている。

で、一番、何に熱中していたかというと、やはり、67年の「仮面の忍者・赤影」。2001年に安藤政信主演で映画「RED SHADOW」としてリメークされるなど、いまだに人気は高いですね。
でも、最初のテレビシリーズが面白い。赤影はかっこいいし、牧冬吉の白影が魅力的だったし、陽炎さんのファンだったし、映画でワタリを演じた金子吉延さんが青影。たまに出てくる竹中半兵衛里見浩太郎
白影さんの大凧に乗りたかった〜。巨大ロボットは出てくるし、赤影は空を飛ぶし、UFOは飛んでくるし…。時代考証はメチャクチャだけど、とにかく面白かった。
忍者マーチを聴くと楽しい気分になります。「豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎だった頃…」でナレーションが始まり、「藤吉郎は金目教の秘密を探るため飛騨の国から仮面の忍者を呼んだ。その名は…赤影参上!!」チャンチャカチャカチャカ、チャチャチャチャ、チャチャーン♪♫♬ ナレーション覚えたもんね。


もう一つ、毎週、必死で見ていたのが「神州天馬侠」 朝日放送系列の1967年版を覚えています。主演は黒田賢。
61年にもフジテレビ系でテレビシリーズ化されているらしい。61年版では佐藤蛾次郎が「泣き虫蛾次郎」役で出演しているそうです。
原作が吉川英治なので面白いはずなんです。28年と41年、58年に映画化されています。58年は里見浩太郎が主演だったそうな。

ストーリーは織田・徳川連合軍に倒された武田勝頼の次男、武田伊那丸が忠臣たちとお家再興のために戦う冒険活劇です。
伊那丸は少年剣士で、話が進むにつれ従者が増えていきます。力自慢の加賀見忍剣、戒刀をふるう木隠龍太郎、胡蝶の陣をあやつる美少女・咲耶子(さくやこ)、槍つかいの巽小文治(たつみこぶんじ)、弓の名手・山県蔦之助(やまがたつたのすけ)、軍師・小幡民部、大鷲に乗る少年・竹童。
これの登場人物は水滸伝南総里見八犬伝にヒントを得たと言われています。
敵は武田家の重臣でありながら織田・徳川に通じた穴山梅雪咲耶子の父の仇で盗賊(妖術を操る怪人)の和田呂宋兵衛。

主題歌はこんなんでした。

唇噛んで 眉上げて
富士を背に立つ 伊那の若武者
風林火山の旗の下
お家再興 その日まで
男の児なら泣くまいぞ
ああ 神州天馬侠

因みに…

昔の時代劇では、結婚している女性は鉄漿(おはぐろ)、引眉(ひきまゆ)だったけど、いつの間にか、そういうメークは見られなくなった。
明治以後、お歯黒の習慣はなくなっていたから、当然、見ていて「気色悪〜」って感じだったし。
男性も当時の時代劇では褌(ふんどし)姿が多かったけど、いつの間にか股引を穿いているし。
時代考証を正確にしたら、みんなが見なくなるし、女優さんも嫌がるだろしね。
でも、本当はこういう化粧をしていた、習慣があったってのを一部の時代劇や歴史ものドキュメントなどでは残して欲しいけど。

映画レビュー④「パピヨン」


よん回目だから、パピよん…スタタタタッ ε=ε=ε=(* ̄ー)ノノ

逃げてどうする! 
だってパピヨンだから、逃げるのだ! 脱出だ!

大脱走よりもパピヨン

パピヨン(Papillon)は、1973年制作のアメリカ映画。
日本では、1974年3月に初公開。1977年5月にリバイバル公開された。
フランクリン・J・シャフナー監督。
主演はスティーブ・マックイーン、盟友ドガダスティン・ホフマン
監督のシャフナーは、「パットン大戦車軍団」の監督としても有名。

胸に蝶の刺青をしていることで“パピヨン”と呼ばれた男が、1931年に無実の罪で終身刑となったものの、脱獄に成功し、
後にベネズエラ市民権を取得したというアンリ・シャリエールの伝記小説を映画化したもの。

脚本は「ジョニーは戦場に行った」のドルトン・トランボ

アンリ・シャリエールの同名小説(原作)は、世界1,000万部のベストセラーを記録したという。
音楽担当のジェリー・ゴールドスミスは、1973年度アカデミー賞・作曲賞にノミネートされた。
テーマ曲はイージーリスニングの定番となっている。


ストーリー

主人公はパピヨンと呼ばれる男(スティーブ・マックイーン)。胸に蝶の刺青があるので、そう呼ばれた。
彼は、金庫破りで逮捕されたが、なぜか罪状は殺人となっていた。フランスの刑務所から南米仏領ギニアの監獄、サン・ローランに送られる。
獄中、偽札作りの天才、ドガダスティン・ホフマン)と知り合う。偽札で脱走資金を作ったが、獄吏の買収に失敗、ジャングル奥の強制労働キャンプに送られる。
ドガが看守に殴られるのをかばったパピヨンはサン・ローラン沖合いの囚人島、サン・ジョセフ島へ島流しにあう。
陽が当たらず、吸血コウモリとムカデがうようよする監獄で、食事はパンのかけらのみ。体力のない囚人は死んでしまう過酷な環境。
ムカデやゴキブリをスープに入れて、餓死をまぬかれ、刑期2年間を過ごす。
サン・ローランに戻るが、ドガたちと再び脱獄を図る。脱獄は成功し、コロンビアの海岸に漂着。
しかし、パトロール隊に発見され、断崖から激流へと落下する。
気が付くと、インディオの部落で介抱されていた。その部落の娘、ゾライマと恋をする。しかしインディオたちはある日、忽然と姿を消す。
パピヨン修道院に身を隠すが、院長が密告し再び捕らえられる。
5年間をサン・ジョセフ島で過ごした後、悪魔島へ移される。この島では手錠も足かせもないが、周囲は断崖絶壁、激流とサメが囲んでいた。脱出は不可能と思われた。
かつての脱獄仲間のドガたちもこの島に来ていた。
ドガは故郷へ帰る夢を失い、孤独だが、平和な日々に満足していた。
しかし、パピヨンは自由を求めた。
ココナツの実を海に投じ、毎日、波の動きを調べた。その結果、断崖の入り江に押し寄せる波は7種類あり、7つめの波に乗れば沖へ流されることを発見した。
パピヨンの提案にドガも脱出を決意するが断念、無言の別れの後、浮きにするココナツの実をつめた袋を断崖に投げ、自らも身を投じた。。。


いろいろな映画に自由の難しさが表現されている。
獲得した自由がいかに大変なプレッシャーをその人に与えるか…
思い出すのは「ショーシャンクの空に」。出所したら、かえって自分の責任が怖くなって再犯を犯す。牢獄の外は違法行為をすると社会的責任を問われるのだから。
保護下や隔離下の自由と違い、真の自由は過酷な道である。


自由を追求し続ける脚本家、ドルトン・トランボ
彼の代表作で監督も担当した「ジョニーは戦場に行った」では、主人公のジョニーが「保護はいらない、自由を欲しい」と叫ぶ。

これと同様の局面が最後に描かれる。ドガは世間から隔離された孤島であっても穏やかな生活で一生を終えることを選ぶ。
これに対して、パピヨンは孤島から脱出する苦難を承知しながら真の自由を求める。

ジョニーは、隔離された病院で穏やかに余生を暮らすよりも、「見世物になりたい」と訴えた。
両手両足だけでなく、顔すらない自分を見せものにしてお金を稼ぎ、自立し、真の自由を得たいと訴えた。

トランボの欲した自由も同様である。
赤狩りでメキシコに移住せざるを得なかったが、本名を隠しながらも「ローマの休日」「黒い牡牛」など名作を世に送り出している。
しかし、隔離された状況は死人と同じというのが彼の結論だった。
彼は、赤狩りの終了を待って、ハリウッドに復帰し、パピヨンをはじめ、自由をテーマに映画制作を続けた。

映画レビュー③「ソイレントグリーン」

1973年の米国映画。
1974年のアヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭でグランプリを受賞。
原作はハリイ・ハリスンが1966年に発表した『人間がいっぱい』(早川書房

製作:ウォルター・セルツアー 、ラッセル・サッチャー
監督:リチャード・フライシャー
脚本:スタンリー・R・グリーンバーグ
音楽:フレッド・マイロー
主演:チャールトン・ヘストン

原作者のハリイ・ハリスン(1925年〜、米国コネチカット州生まれ)の代表作は『宇宙兵ブルース』(早川書房)。人口問題、ごみ問題など、科学文明の限界をシニカルにとらえた作品で有名。
『宇宙兵ブルース』では、ハインラインの『宇宙の戦士』、アジモフの『銀河帝国の興亡』など、有名作品のパロディの形で、現代文明を笑い飛ばす視点も持っている。


ソイレントグリーン」のテーマは食糧難。21世紀に入って、人口問題や食糧問題が現実のものとなったが、「世の中右肩上がり」の1960年代に問題提起した原作者の慧眼には恐れ入ります。
時代設定は2022年(あんまり遠くない未来になっちゃいました)。

ストーリー

とどまるところを知らない人口増加で世界中で、住む場所と食料を失った人たちで溢れかえった。一部の特権階級と大多数の貧民に分かれた格差社会が現出していた。
肉や野菜など、自然の食料品は貴金属や金銭よりも高価なものとなっていた。
多くの人たちにとって、食品メーカー、ソイレント社が「海のプランクトンから作った」という合成食品の配給を受けて生き延びていた。
ある夜、ソイレント社の幹部が殺される。
ニューヨーク市警の殺人課のソーン刑事(チャールトン・ヘストン)は同居する老人のソル(エドワード・ロビンソン)の協力のもと、捜査を始める。
彼はさまざまな妨害を受けた上、人口食品「ソイレント・グリーン」の配給中断による暴動の際、暗殺されそうになる。

自室に戻るとソルが「ホーム」に行ったと知らされる。
多数の人々に与えられた唯一の権利は死ぬ権利であり、「ホーム」は公営の安楽死施設である。
ソルはすべての事実を悟っており、それゆえに死を選んだ。ソーンに真実を知らせるために。
ソーンはホームへ向かうが、ソルの最期を見届けるしかなかった。BGMはベートーベンの「田園」。大画面には在りし日の地球の大自然が放映されていた。

ソルが死んだ後、ソーンは遺体を追跡する。ソルの遺体はソイレント社の工場に運び込まれた。
ソイレント・グリーンは人間の死体を材料に生産されていたのだ。
暗殺者がソーンを襲う。彼らを撃退したものの、深手を負ったソーンは病院に運ばれる。

彼は叫ぶ「早く何とかしないと、人間は食糧のために人間を飼うようになるぞ」


人間が人間を飼う。
この物語では人間を「食糧にする」でしたが、「食い物にする」はいくらでも現実世界に存在します。
実際に食糧にされなくても、為政者に「食われている」状況は沢山あるのですから。
政治的な話は避けますが、日本でもありますよね。

為政者や特権階級に「飼われる」状況は嫌ですね。

自分達の生活や安全だけのためにほかの人間を飼う…北朝鮮なんて、この映画の舞台のような国だものな。

「飼われる」って楽な状態です。1950年代、米国の公民権運動の際、マーチン・ルーサーキング牧師が最も苦労したのは、「白人に飼われてはいけない」ことを黒人たちに自覚させることだったという。
かえって自由になるのって不自由な状態なのだから。自己責任。。

話はそれましたが、ソーンの最後の台詞。食糧を「自らのエゴ」と読み替えてはどうでしょう?

もう手遅れでしょうか?