アニメ・特撮 ⑤ 【鳥人戦隊ジェットマン】




鳥人戦隊ジェットマンです。1991年〜92年の放映だったので16年前(2007年現在)の作品ですね。
ゴレンジャーから数えて15作目(今のゲキレンジャーは31作目)だそうです。
実は、戦隊ものの最高傑作と言われています。

ジェットマンの前の作品、地球戦隊ファイブマンが前半の低視聴率で一時は戦隊シリーズ打ち切りも検討されたようです。
それで、「もしかしたら最後の戦隊もの」として制作されたようで、かなり、ブチギレた作品になってます。
「視聴年齢を大人にまで広げた(?)ので、成功した」と言われています。

シナリオライター井上敏樹。彼は人物の内面や、登場人物の利害関係の描写に長けた作家です。特に、主人公や主要人物がトラウマを抱えているという設定をよく使います。
うる星やつらラムザフォーエバー」や、最近は「仮面ライダーアギト」「同555」のメーンライターとしても有名なようです。

このジェットマンは5人のチームで、男性3人、女性2人。チーム内と敵キャラとの恋愛関係を描いた物語で、男女の三角関係がドラマの中心になっています。
それゆえに、「子供向けのドラマではない」という抗議や批判が多かったそうです。
確かに、子供がみて分かる話じゃないよな…

レッドホーク(天堂竜)、コンドルブラック(結城凱)、イエローオウル(大石雷太)、ホワイトスワロー(鹿鳴館香)、ブルースワロー(早坂アコ)、隊長は女性で小田切綾。
科学忍者隊ガッチャマン」を模しています。甚平役が女子高生になってますが、甚平と同じくツバメです。大鷲のケンがレッドホーク(鷹)に変更されてますが。
中身はほとんどガッチャマンとは関係ないのですが。あとで述べる最終回の衝撃ラストを除いて。。

設定は、さまざまな異次元を制圧してきたバイラムと戦う、戦隊の物語です。
地球防衛軍が開発した「バードニックウェーブ」をあびると身体能力を強化した超人戦士になります。ところが、バイラムの襲撃でこの基地が破壊されます。
正規の隊員の竜だけが残り、彼の恋人・あおいリエは次元断層にはまり行方不明、死亡したものと思われています。
バイラムの攻撃の際にバードニックウェーブの漏えい事故が起こり、このバードニックウェーブを浴びた民間人が4人いました。それが残りの4戦士です。ストーリーの初めはメンバー探しとなってます。

バイラム側のキャラクターは女帝ジューザ、裏次元伯爵ラディゲ、マリア、グレイ、トラン、帝王トランザ
女帝ジューザは2回しか出てきません。権力争いでラディゲとジェットマンの連合チームに倒されます。
グレイは戦うだけが目的のロボットです。凱と何度も死闘を繰り返します。ロボットですがマリアに恋心を抱いており、マリアが死亡した時、そのなきがらを受け止めています。
トランはトランザの子供の時の姿。トランザは尊大で歪んだ性格です。トランの時に敵味方に子供扱いされたのがトラウマとなっています。超能力で一度はラディゲを服従させますが、ラディゲはレッドホークを利用してまで逆襲。最後は精神崩壊し、身元不明の患者として精神病院に入れられます。

ラディゲは実質的な大ボスです。目的のためには手段を選ばず、尊大で野心家です。しかし、自分を嫌うマリアに倒錯した愛情を持っており、メーンライターの井上敏樹氏による小説版ではマリアを愛人にしています。

マリアは竜の行方不明になった恋人、あおいリエが正体ですが、記憶を失い、バイラムに洗脳され幹部となっています。好戦的で残忍な性格に変貌していますが、ピアノの演奏だけはリエそのものです。その演奏がグレイの機械の心を引きつけました。
物語のクライマックスで記憶を取り戻しますが、人類を攻撃し殺戮した記憶との間で葛藤します。けじめをつけるためにラディゲの背中に深手を負わせますが、「レッドホークには渡さない」と逆上したラディゲに斬られ、竜の名前を呼びながらグレイの腕の中で死亡。溶解作用のあるグレイの涙が彼女の遺体を消し去ります。

もともと、竜だけが防衛軍でほかの4人は民間人だったので、当初、チームの仲は最悪でした。そのうち、竜と凱は超親友になります。

竜は主人公タイプですが、恋人を失ったトラウマがあります。
凱は子供向け番組なのにたばこを吸います。二日酔いです。香に気があります。何度も口説いてます。強引にチューしようとするほどです。
竜太は素朴なキャラですが、香に気があります。最終的には諦めて幼馴染と結婚します。

香は当初、竜にモーションかけまくりでしたが、竜の心からリエが消えないので、凱に乗り換えます。訓練をサボってデートするほどラブラブになります。
しかし、凱は財閥のお嬢様の香に「マナーが悪い」とか指摘され、それを煩く感じ始めます。
鹿鳴館財閥を率いる香の両親は、マンガに出てくるダメ金持ちの典型です。

結局、うまく行かず悩んでいる時にマリアがリエと分かり、そのリエが死亡します。香は竜の心の隙間に入り込んで、今度は見事に落とします。

リエの死に落ち込み、単身ラディゲとの決着に赴く竜。傷ついた竜にリエが最後に言った「私の記憶を消して」という言葉を「思い出して」と、香は竜に迫ります。
リエの言葉を話す香の中にリエの姿を見た竜が香を抱きしめます。このシーンだけみたら「戦隊もの」だと誰も思わないです。





し・か・し…香って。。。。

第一候補(竜)と第二候補(凱)を巧みに乗り換え、第一候補の恋人が死亡した精神的ショックにつけこみ、まんまと第一候補を落とすなんて…こえーーーw(゜o゜)w
両親が大金持ちってことだけど、こういうことが出来ないと大金持ちにはなれない?!



アコはドロドロ恋愛ドラマの蚊帳の外です。

怪人、怪獣? の類は30体ほどしか出ていないようです。恋愛ドラマを中心にしたせいでしょう。

紆余曲折の戦いを通じ、戦隊とバイラムの最終決戦が行われます。

最終回前に敵方のロボットのグレイと凱の対決があります。
グレイと凱は戦いの中で友情に近いものが芽生えていますが、敵味方ですから、戦わなくてはなりません。
一進一退の戦いでグレイが優勢となりますが、最後、凱が逆転勝利します。
グレイは「戦士が死ぬところが見られたくない」と話し、凱を遠ざけます。凱はたばこに火をつけ、グレイに与えその場を去ります。
仰向けに横たわるグレイがたばこを吸いますが、やがて力が失われていくのが分かります。マリアの弾くピアノの映像と音がバックに流れ、彼がマリアのもとに旅立とうとしているのが分かります。

最終回は前半で敵との戦いが終焉します。
ラディゲとジェットマンの最終決戦。ラディゲが有利でしたが、リエがラディゲに斬りつけた背中の傷が弱点になりました。そこを狙われ敗れ去ります。

その後半は戦いが終わった3年後。

竜と香の結婚式が始まります。そこに凱以外のメンバーが勢ぞろいしています。
凱はその頃、花屋で竜・香に渡す花を買っていました。その目の前でチンピラが通行人のかばんを引ったくり、逃亡しようとします。
チンピラを追いかける凱。追いつき、かばんを取り戻し、チンピラに背を向けて歩き出します。倒れたチンピラは懐からナイフを取り出し凱に突進。振り向いた凱は腹を刺されます。

結婚式が終わり、協会の外で竜や香を囲む出席者たち。竜が気が付くと、近くのベンチに凱が座っていました。
「来てくれたのか」と竜は話しかけながら凱の隣に座ります。花束を渡し、祝福する凱。「顔色が悪いぞ」の竜の言葉に「いつも通り二日酔いだ」凱は応えます。

全員で記念撮影をしますが、凱はベンチから立ち上がりません。竜は一同に「疲れているんだ。そっとしておこう」と言います。
竜は木陰にリエの姿を見つけます。リエは頷き、微笑むと姿が消えていきます。

画面の効果をたくみに使いながら楽しくはしゃぐ一同のシーン。凱がまぶたを閉じ、力なく腕が落ちます。

この場面で物語は終了。エンディングテーマが流れていきます。

特撮・アニメを含めたヒーローものの中でかなり異色な作品でした。
モデルにした「科学忍者隊ガッチャマン」もコンドルのジョーが死んでいます(続編で復活)から、凱が最後に死ぬのは必然だったのかもしれません。

私はなぜか、「太陽にほえろ」のマカロニ刑事が死んだシーンを思い出しましたが。

やはり、この最終回後半だけ見た人は誰も「戦隊もの」とは思わないでしょう。。









でも、戦闘機が墜落しても死なない、剣で斬りつけられても死なない、爆発に巻き込まれても死なない…それをナイフ1本で殺したチンピラって凄い。








チンピラ役はブラックコンドルスーツアクターが演じていたそうです。変身後に変身前が襲われたのなら確かに死ぬかもww

最近の戦隊ものではアバレンジャーマジレンジャーが秀逸だったと思います。